アルツハイマー型認知症
認知症のなかで最も頻度の高いタイプです。長い年月をかけて脳の機能低下が徐々に進行し、記憶や認識に関する障害がみられます。最近では初期に治療を実施することで脳の変化を遅らせる治療薬が開始され、有名になりました。進行してからは適応にならないため、物忘れが気になりはじめた段階で検査を受ける必要があります。日常生活で気になる場面が増えたら、一度ご相談ください。
レビー小体型認知症
レビー小体という異常が脳をはじめ、全身の神経に影響を与えるタイプの認知症です。特に曇りの日や夜に存在しない人や動物が見えるという幻覚(幻視)が有名ですが、そのほかにも昼夜の逆転、体の動かしにくさや、睡眠中の寝言、立ちくらみや頻尿といった全身のさまざまな神経の症状を呈することがあります。症状は変動しやすく、また感情的な異常も出現しやすいタイプです。治療薬によってそれぞれの症状の緩和が期待できます。
血管性認知症
脳血管の障害による出血や虚血が、脳にダメージを与えることで生じる認知症です。血管の障害が問題になるため、進行の仕方や症状の出方は個人差が大きいタイプになります。脳血管の障害を遅らせる治療が重要ですが、とりわけ症状の変動の強さや、怒りっぽさが生活の支障になることが多く、そういった症状に対する専門的な治療を必要とすることがあります。
前頭側頭型認知症
物忘れよりも行動の異常が目立つタイプの認知症です。性格の変化、思いついたことをすぐにしてしまう衝動性、信号無視や万引きといった社会的な行動の異常が有名です。原因となる神経の異常は比較的多くありますが、脳の一部である前頭葉または側頭葉の障害によって出現するものは前頭側頭変性症といい、難病に指定されています(指定難病127)。
失語症
言葉が出にくい、うまくしゃべることができないという症状を失語といいます。失語そのものは認知症ではありませんが、原因となっている脳の変化はゆくゆく進行することで認知症になりやすいため、認知症専門医が最初に診察を行うことが多くあります。原因となる疾患はさまざまですが、言葉が出にくい、単語の意味がわからないといった症状は認知症の初期の症状の可能性があります。一度専門医にご相談ください。
治療の効果が期待できる
認知症をご存知でしょうか
一見認知症にみえる状態においても、状態を改善させることが可能な状態があります。
特発性正常圧水頭症や慢性硬膜下血種、薬剤性によるもの、うつ病、ビタミンやホルモン不足、脳炎、甲状腺機能低下症などによる脳機能の低下は、一見すると認知症にみえますが、早期発見・治療によって状態の改善が期待できます。
しかし、認知症の原因は簡単には判断できないため、以前とは違う物忘れやなにかしらの症状がみられた場合には、一度受診されることをおすすめします。